「なぜ人前であがるのか?」
百田尚樹氏は、新刊『鋼(はがね)のメンタル』の中であがる原因は至極単純なことです。
「人にかっこよく思われたい!」――それだけです。
と書いています。
自分はあがるけれども、そんなことはまったく思っていない、と言うあなた、それは嘘です。
あがるのは「人に良く思われたい」「称賛を浴びたい」「上手にこなしたい」という思いがあるからです。
身も蓋もない言い方をすれば、「ええかっこしい」なのです。
要するに「人にどう思われるか」という自意識が強すぎるのです。
自分と他者とを明確に分けて比較する関係と見做しているからです。だから、自意識が芽生えていない幼児には、あがるという症状はありません。もうひとつ、プライドが異常に高いのも原因のひとつです。「素晴らしい自分を見せたい」「高く評価されたい」という気持ちが強すぎて、それが失敗に終わる恐怖と不安が大きく膨らむのです。
不思議なのは、そういう人はふだんの生活ではまったくそんなふうに見えないことです。どちらかといえば、目立たない、積極的に前に出ない、おとなしいタイプの人が多いようです。
ですから、私はそういう人が人前であがっているのを見ると、「ああ、この人はふだんはおとなしくて目立たないけど、本当はすごくプライドが高くて、目立ちたくてたまらなかった人なんだな」と思います。意外なところで、その人の本当の姿が見られるのは面白いものです。